部屋の中から

会社を辞めてぷらぷらしている男が趣味について何か書いていくブログ

【シザーハンズ感想】障害者をのけものにして全て丸く収まる話

ほんわか感動ストーリーと見せかけてからの、垂直落下式パイルドライバー

町の外れの城に一人でいる両手がハサミの人造人間エドワードを、ペグという婦人が家に連れて帰るところから話は始まる。

奇怪な人物を、地域は暖かく受け入れた。

しかし、純真無垢なエドワードは善悪の基準が曖昧で、その特技を悪意持つ人々にいいように利用され、誤解され、ついに危険人物と認識される。

エドワードは抗弁もせず、ただ静かに怒りと悲しみを自分のうちにため込んで、最後は城に帰る。

 

何も変わらない社会

彼を社会から排除して、社会に平和が戻った。

エドワードに盗みを働かせた男のせいで、エドワードは殺人を犯す羽目になった。

エドワードに盗みを働かせた女は、自分の悪事を告白することなく、自分の身を守った。

エドワードのことを「レイプ犯」と広めて回る女は、罪の意識もなく普通に生活を続ける。

エドワードのことを一貫して「悪魔」と罵っていた女は、自分の見識の確かさを誇る。

エドワードを最初に保護したペグすら、「城に戻れば、彼は平穏を得る」とさじを投げた。

すごい最後だ。

後日、エドワードに盗みを働かせた女は「エドワードが町に降りてきてから、町に雪が降るようになった」などと何だか美しくエドワードのことを語るが、結局のところ社会は何も変わっていない。

 

他人と異なる者の末路

劇中にてエドワードは「ハンディキャップ持ちと言わせるな」とアドバイスを受けるが、まさに彼は他人と違う手を持ち、教育も足りていない、身体的にも知的にも障害者として描かれている。

「そんな彼が社会になじむためには、特異性を速やかに捨て去るべきだったね」という割と救いのない寓話。